アーキテック

NEWS2026.07.06

中大規模木造建築に特化した設計支援 AI ツール開発の取り組みが林野庁補助事業に継続採択

分散する設計ノウハウを束ね、設計実務者が活用できる共有基盤を社会実装へ。組織設計事務所 3 社 × ArchiTech の 4 社共同プロジェクト


株式会社⽇建設計(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:⼤松 敦、以下「⽇建設計」)、株式会社⽇本設計(本社:東京都港区、代表取締役社⻑:篠﨑 淳、以下「⽇本設計」)、株式会社三菱地所設計(本社:東京都千代⽥区、代表取締役社⻑:⾕澤 淳一、以下「三菱地所設計」)、ArchiTech 株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社⻑:伊藤 拓也、以下「ArchiTech」)の 4 社が共同で進める、中⼤規模木造建築領域に特化したチャット形式の設計支援 AI ツール開発の取り組みが、林野庁の補助事業「CLT 等木質建築部材技術開発・普及事業(令和 7 年度)」に継続採択されました。
本事業は前年度に続く継続採択となるもので、前年度に構築した試作システムと試験運用の成果を踏まえ、本年度は実用化に向けた精度向上、プレ公開に向けて取り組んでいきます。

■ 背景:中大規模木造建築の市場と設計現場の課題

脱炭素社会の実現に向けた潮流と木材利用促進法の改正等を背景に、木材利用は加速しています。国産材需要の多くを占める⼾建て市場が縮⼩する一⽅、オフィス・商業施設・ホテル・福祉施設・保育園・教育施設など事業用の中⼤規模木造建築領域は今後の市場拡⼤が期待される分野です。一⽅で、その設計には構造・防耐火・木材調達など多領域の高度な専門知識と経験が求められるうえ、法改正・規制緩和等の変化も多いことから、実務に直結するノウハウや公的ガイドラインが関係省庁・業界団体等の各所に分散・埋没し、必要な知見に容易にたどり着けないことが担い手拡⼤の障壁となっています。

前年度に 4 社が実施した非住宅木造建築に取り組んでいる、あるいは興味を持つ設計関係者を対象とした独自アンケート調査(n=460 人)では、近年の木造建築をめぐる動きを踏まえ、およそ 2/3(68.7%)が「中⼤規模木造建築への関心・取り組み意欲が数年前と比べて高まった」と回答しました。その一⽅で、実務上の課題として「コスト・納まり・構造性能などの比較情報が整理されていない」「設計・調達・施工の情報が分散しておりつかみにくい」「最の法改正・告示・ガイドライン更を追いきれない」といった声が上位を占め、回答者の約半数(46.7%)が情報収集に 1 ⽇ 1 時間以上を費やしている実態も明らかとなりました。

■ プロジェクト概要と前年度の取り組み

本プロジェクトは、各所に分散している設計知見を集約・構造化し、継続的に活用できる基盤の構築を目的に、設計事務所 3 社(⽇建設計・⽇本設計・三菱地所設計)が参照データの収集と試験運用、ArchiTech がシステム開発・データ処理を担う 4 社共同体制で、設計支援 AI チャットボットの開発、回答生成の根拠となるデータ(法規制・設計事例・技術資料・調達情報 等)の収集と整備、持続的な運営体制の検討を一体的に進めています。回答生成にあたっては、国・行政機関、研究機関、業界団体等から公開されている信頼性の高い
資料を参照し、出典情報を提示するシステムを採用しました。前年度事業では、この体制のもとでチャットボットの基盤構築、参照データの整備、設計関係者向けアンケート調査に加え、設計者による試験運用とフィードバック収集を通じた継続的なツール改善を実施しています。

■ 本年度の取り組み

継続採択された今年度事業では、前年度に構築した基盤を踏まえ、設計実務での活用を見据えた実用化に向け、精度を向上するフェーズに移行します。4 社の協働体制を引き継ぎながら、以下の 3 点を重点的に推進します。

回答精度の評価・改善:設計実務での利用を想定した評価指標を整備し、出典提示の正確性・回答の網羅性を継続的に検証・改善

参照データの継続整理・更新:法改正・基準・最の設計事例等を反映するため、収集対象・収集体制・更フローを再整備

データ連携パートナーの拡充:業界団体・自治体・企業・研究機関等との連携により、設計事例・技術資料・木材調達情報など実務に直結する情報源を拡充

これらを通じて、前年度のアンケートで設計者からの要望として最も⼤きかった「回答の正確性・信頼性」を一段引き上げ、設計者が安心して業務で活用できる品質基盤を確立することを本年度のゴールとしています。

■ 今後の展開

本事業で構築・拡充した仕組みをもとに、今後は設計支援ツールの精度向上と情報基盤の継続的な拡充を進めながら、設計実務における活用の本格化と、持続可能な運営体制の確立を中⻑期的に目指します。具体的には、利用データを踏まえた継続的な機能改善、対応領域の段階的な拡張、業界横断での活用推進などを想定しており、中⼤規模木造建築の設計を支える社会インフラとしての定着を見据えています。

前年度の取り組みを通して、事例や論文を参照データとする際の各種権利の扱い⽅や、チャットボットの品質の維持と持続可能な組織づくりに関する課題が明らかになりました。今後、木材利用を推進する公益的な活動を目指しネットワークの構築を目指します。


【本件に関する問い合わせ先】
ArchiTech株式会社 広報担当 Email:jwc@architech.co.jp